[Webinar Course #2] 1/27 JAC-USのDEI Webinar
ウェビナー概要
今期2回目は、“Art & Social Practice” という最先端の実践教育をテーマに開催します。
アートを通じて社会的な対話を促進し、問題を提起し、コミュニティ内での変化を促進する手法として、いま注目を集めている新たな学問領域です。大学や住民が協働するコミュニティベースドの街づくりで「世界一住みたい街」として知られる米オレゴン州ポートランドから、日米2人のゲストをお迎えします。
全米トップ15に選ばれるPSU(ポートランド州立大学)の Art and Social Practice プログラムの内容とともに、そのユニークな実践として、公立学校内にある現代美術館 KSMoCA を交差点とする世界的アーティストと児童、大学生、コミュニティとのコラボによる活動事例を紹介し、ご参加の皆様とともに教育やDiversityについて、楽しく議論を進めたいと思います。
日時:
1月27日(土)10:00〜11:00
スピーカー:
Dr. Kiara Hill(ポートランド州立大学 客員教授/教育者・コミュニティベースドリサーチャーであるとともに、黒人ビジュアルアートのキュレーター)
Midori Yamanaka(アーティスト/教育者/PSU大学院在籍中のArt and Social Practiceの研究者/北海道出身)
場所:
オンラインzoom
参加費:
無料(国務省助成事業のため)
申込先:
申し込みはこのURLより(https://forms.gle/zFy5LMKu7AqDqqGf7)
お問合せ:
当サイトのお問合せフォームより(https://jac-us.org/contactus/)
KSMoCA とは?
KSMoCA=児童と生徒、プロのアーティストが一緒に作る、公立学校内にある現代美術館
ドクター マーティンルーサーキング ジュニア スクール現代美術館、通称KSMoCAは、オレゴン州ポートランド市の公立小学校である、ドクター マーティン ルーサー キング ジュニア スクール(以下、Dr MLK Jr School)内にある現代美術館および*Social Practice Art プロジェクト(社会実践アートプロジェクト)です。
2014年、ポートランド州立大学のハレル・フレッチャー教授とリサ・ジャレット教授によって設立。以来、当学校に通う児童とそのコミュニティを、世界的に活躍する現代アーティストとを結びつけています。そこでは、コラボラティブなワークショップや展覧会、アーティストによるレクチャー、その場所やコミュニティならではのプロジェクトなど、協働による制作活動が行われています。子どもたちは美術的な実践やキャリアについて、例えばキュレーター、アーティスト、ギャラリスト、ライター、講師などとしての活動を通じて学びます。
これは、美術館、公立小学校、大学が全体でリソースを共有するための交差点を作ることにより、人々や文化、視点に影響を与える方法を再考するという取り組みであり、当プログラムは、Dr MLK Jr School コミュニティ、ポートランド州立大学の学生、取り組みに賛同するアーティストたちとのコラボレーションによって開発・運営されています。
https://www.ksmoca.com/
*Social Pracice Art(もしくはArt and Social Practice)
現代アートの分野のひとつで、社会的な問題に対し、コミュニティとの関わりを重視するアートの形態です。ここでは、アートは単なる視覚的表現を超え、”社会的、文化的、政治的な問題に対話や介入を試みる手段”として使用されます。コラボレーションやコミュニティ、社会的課題、教育や啓発などが、この分野の重要な特徴です。現在、ソーシャルプラクティスアートは、アートを通じて社会的な対話を促進し、問題を提起し、コミュニティ内での変化を促進する方法として注目されています。
ポートランド州立大学 大学院 Art and Social Practice 修士課程(MFA)プログラム
2007年、Art and Social Practiceの分野において、世界で最初に作られた大学院課程のひとつです。そのユニークな経験学習、セミナー討論、コラボレーティブなプロジェクト制作は、ポートランドのさまざまなコミュニティや世界中の組織、個人との繋がりを有しています。Artsyの「全米トップ15のアートプログラム」にも選ばれており、その教育的な質と影響力は国際的にも高く評価されています。
KSMoCAの主な活動
メンターシッププログラム
プログラムに登録したDr MLK Jr Schoolの児童が学生やアーティストなどをメンターに一対一で毎週45分、9週間に渡り協働するプログラム。「関係性」を共に作り上げていく。
エキシビジョン
毎学期、国際的に活躍するアーティストを招聘し、Dr MLK Jr Schoolの児童も何らかの形で関わる作品を中心としたエキシビジョンを開催。エキシビジョンを伝えるパンフレットとなるzine(小冊子)はポートランド州立大学の学生(**Art with Kidsのクラス履修者)によるもの。
ワークショップ
毎学期、招聘アーティストがクラスを訪れ、Dr MLK Jr Schoolの児童を対象にワークショップを行う。ポートランド州立大学の学生(**Art with Kidsのクラス履修者)も参加、または運営をサポートする。
**Art with Kids: Museum in a Public School (芸術と子ども:公立学校にある美術館)
KSMoCAで活動し、学ぶ、ポートランド州立大学の学部生向けクラス。全学部生を対象にしており、繰り返し履修する生徒も多い人気のクラスです。
KSMoCAの活動風景
メンターシッププログラムで活動する様子。今学期は3年生を対象に行われている。
今学期の招聘アーティスト、リチャード・ブラウン氏によるワークショップの様子。
KSMoCAで行われるポートランド州立大学「Art with Kids」の授業の様子。メンターシッププログラムもこのクラスの一環で行われる。コミュニティベースドラーニングやアーティストインレジデンスなど、さまざまな学びの方法や関係性の構築方法などについて議論する。
スピーカー
Dr. Kiara Hill(they/them)
キアラ・ヒル
教育者/コミュニティベースドリサーチャー
2022年より、ポートランド州立大学 客員教授。美術史を中心にさまざまなクラスを受け持つほか、2023年よりKSMoCAで行われている「Art with Kids: Museum in a Public School」 を担当。
サクラメント州立大学で学士号、アラバマ大学で修士号、マサチューセッツ大学でアフリカ系アメリカ研究の博士号を取得。黒人女性ビジュアル アーティスト、黒人フェミニスト アート、黒人現代美術に重点を置いた 1960 年代と1970 年代の黒人芸術運動を研究。黒人ビジュアルアートのキュレーターでもある。
参照:KSMoCAでのキアラ・ヒル氏と5年生だったローズとのメンターシッププログラム
https://insideportlandstate.pdx.edu/2023/02/16/kiara-hill/
Midori Yamanaka(she/her)
山中 緑
アーティスト/教育者
2023年、キアラ・ヒル氏、ローラ・グレイザー氏と共にKSMoCAで行われている「Art with Kids: Museum in a Publis School」 の活動をアシスタントとしてサポート。
大学卒業後、日米両国でデザイナーとして活動ののち、「スクールコミュニティ」「ラーニングコミュニティ」という概念に惹かれ、母子でオレゴン州ポートランドに転居。全米でも歴史ある、ポートランド公立学校の”日本語イマージョンプログラム”を支えるNPOに勤務。小学生から高校生までそれぞれを対象に、多数の文化交流を通じた学びの運営に携わる(2023年夏退職)。異文化や多様性からの学びを実感する中、Art and Social Practice(アートと社会実践)に出会い、2022年よりその分野の草分け的存在であるポートランド州立大学大学院にて本格的に研究・実践を開始。ポートランド州立大学アートアンドデザイン校舎建て替えのための、BIPOCリサーチチームメンバー。